日本 米国 中国 団塊の世代
「戦後という枠組み」の破壊はこれまでもさまざまな書籍で指摘されてきたテーマだが、本書『日本 米国 中国 団塊の世代』は、このテーマをとりわけ日本における「団塊世代の課題」として描きだしている点が大きな特徴となっている。
「戦後という枠組み」とは、アメリカの保護観察の下で“経済成長させてもらった日本”という位置づけのことだ。こうした背景よって、日本が、GDP・人口において約3倍であるアメリカとほぼ同等の国連分担金を強いられる要因になっているのだという。しかし、今日の世界的不況の中にあっては、さしものアメリカも往時の勢いを失いつつある。では日本はどうか。舵の方向を見直していくべきではないのか。そんな問いかけこそが、本書の主題と言えるかもしれない。
本書は、日本の団塊世代、そしてアメリカ・中国の同世代に着目し、1900年代から現在に至るまでの歴史的な歩みについて評論したものである。「団塊の世代」という単語を生み出した堺屋太一氏の解説による3ヶ国の団塊世代の歩みに加え、それぞれの国の団塊世代の著述家が自国の同世代の歩みについて書きまとめている。
そこから見えてくるのは、日本の団塊世代は他国のそれと比べて、いかに社会的な変化が少なく、安定した生活を送ってきたかということだ。ベトナム戦争や文化大革命などで、米中の同世代が味わった苦難は計り知れない。だからこそ、現在の世界的大不況は、日本の団塊世代にとって空前の試練となって襲い掛かると同書は指摘している。
試練と課題。二つの難題を突きつけられた団塊世代の果たすべき役割とは「投票者として、またその一部はそうした運動への参加者もしくはリーダーとして、保護観察時代を整理分析する」ことであると本書は述べている。これは、国を自立させたいという“意思”と、同時に、時代を変えるのは他人でなく、ほかならぬ自分たち自身なのだという“誇り”をも必要とするだろう。がんばれ団塊の世代。そうした思いを抱かせるほどに、本書は励ましに満ちた論調となっている。
ところで、本書に触れる団塊の後続世代、あるいは団塊世代から生まれた二世の世代は、身が引き締まる思いとともに、ある種のキマヅサを覚えるのではないかと推測する。本書はいわば日本の団塊世代をつるし上げ、批判し、道を示し、励ますものだ。叱られている先輩を見て、得したような損したような甘酸っぱい気分になりたい人にもオススメの一冊!
書籍名:日本 米国 中国 団塊の世代
著者名:堺屋 太一 (編著), 浅川 港 (著), ステファン・G・マーグル (著), 葛 慧芬 (著), 林 暁光 (著)
発行元:出版文化社
発行日:2009年3月29日
ISBN:978-4-88338-389-4
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